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高知、メフィストフェレスの壁画の終焉

高知県高知市の帯屋町商店街の突き当たりにはメフィストフェレスという喫茶店があって
22~23歳の時に、当時ギリギリで生きながら、僕は2・3階のファサードを壁画で飾りました。
高知、メフィストフェレスの壁画の終焉_b0052471_21182020.jpg
(写真↑)2012/8/16/ Photo by 田中くん
現代企業社の喫茶メフィストフェレスのリニューアルオープンに合わせて
壁画をリニューアルしたいと8月に連絡があって、急いで16日に高知へ渡った。

9月後半から10~14日間足場を組んでファサードの工事もしたいとのこと。
メフィスト側の意向を聞いて、予算を聞いて.....等々
工務店による塗装サンプルが出来た時点で次回打ち合わせをすることを約束した。

当時、提示された案は僕が良いと思えるものではなかった。
けど僕は、高知や現代企業の仕事は特別に思ってる。
だから要望を聞いた上で、すぐさま数案作ってサンプルもプリントして郵送やメール。
ハウスプロジェクトや大型作品を含む数件の仕事を遅らせ
9月後半から10月後半までの間、打ち合わせや足場に上がる時間を空けた。


だけども、それ以来は返事や連絡が来ることはなかった。
僕からこれ以上連絡するつもりは無かった。僕が望んだリニューアルじゃないから。

連絡が再びあったのは11月20日だった。
26日から14日間足場を組むので上がって作業してくれというもの。
僕は、予定の工期までに返事もなく、8/16以来どうするか打ち合わせもない状態で
突然来週から作業と言われても無理だとFAXやメールや電話で連絡した。

それでも、僕が良いと思えるものでなかった向こうの意向のまま
作業は進められていたようだ....このところの僕の憂鬱の原因、メフィストフェレスに到着。


僕の描いた絵は安い木材で切り離され、知らない人に塗り消されてしまった。
高知、メフィストフェレスの壁画の終焉_b0052471_21184160.jpg
(写真上)2012/8/16/ Photo by 田中くん、
(写真下)2012/12/07/ Photo by西夏さん

僕らは、しばらく言葉が出てこなかった。
「残そうとした部分も指示してなくて消しちゃいました。良かったですか?」
など、言われたことにも何も言葉が出てこなかった。

これから足場にあがって「川埜さんの作品にするように」、とか
あそこをこう塗って欲しいとかこの色で塗って欲しいとか、なんとかかんとか。
「僕は芸術家であって、工務店では無い」と言った。

ここであったことは書くのを省こう。
つらかった。たけど、僕は怒ることも悔しがることもしなかった。
今の時代なら、綿密に打ち合わせさえすれば僕が毎日来れなくても
毎夜、画像確認しながら正しい指示や指定も出来のに。


23歳の僕が懸命に造った「メフィストフェレスの壁画」は終わったんだと理解できた。


リニューアル後、取材等に関しても「メフィストフェレスの壁画は川埜龍三の作品ではない」
「勝手に手を加え別物にした」と、きちんと答えてもらうよう頼んで去った。


こんなにたらたらと芸術家としての自分にとって最も辛いことを書くのは
所有権と著作権に対する当たり前の認識を地方の人にも広く知ってほしいからだ。

当時の若い僕は契約書を交わして仕事をすることはなく書類として何も残さなかった。
これから生きるためにモノを造る人たちは、常に先を読んで契約を交わして欲しい。
そこで相手の心もキチンと確認出来るのだから、恐れずに。
それを生業として全部自分で抱え込んでやっていくんだから
ハッピーに造り続けるなんて、嫌んなるくらい重労働なんだからさ。

もし、僕が打ち合わせに参加出来て壁画に手を入れるとしたら
まず、立体を取り外して壁面の強度をチェックして補強し、立体は別工場で研磨、塗装。
壁面には立体を一点入れ替え&壁面を加工&フェイクの窓や新たに小さな立体物と絵を描いたろう。
当時出来なかったことと、現在の自分が出来ることをみんなに届けたかもなぁ。
動く箇所なんてのも当時はできなかったもんな....



今回のメフィストの件は、例え法に触れるものだとしても
問題を大きくすることで肩身が狭くなるのは作家という世の中。
僕はいつもぶつかってボロボロになるまで信念を貫いてきた。当たり前に。
今回は、自分が消えることで終わりにしたい。

この壁画なくして今の自分もなし。
僕に仕事をくれ育ててくれた恩は一生忘れない。感謝。



先に進んで、また一所懸命造るがよろし。
「ハウスプロジェクト」も得体の知れない鵺との戦い。最後に鵺を笑わせようぜ。


最後に、当時メフィストフェレスの壁画を制作するために
金のない僕と、飯もろくすっぽ食えず、寒い寒い冬に眠らずに労働を共にした仲間たちに
下の写真を贈ります。ありがとうございました。
高知、メフィストフェレスの壁画の終焉_b0052471_2119166.jpg

by ryuzo3net | 2012-12-07 21:18 | トラブル | Comments(6)
Commented by akie at 2012-12-10 09:20 x
最悪や!!がしかーし、夜の壁画の写真やっぱりきれいやね~うんうん。ハウスプロジェクト楽しみにしてまーす!体も気をつけて頑張ってね。応援される審査員♪←私的にツボでした。
Commented by ryuzo3net at 2012-12-10 19:24
akieさん、「台無し」ってこういう感じの事を言うんだなと思ったよ。
でも、いまはすぐに前に向かってるから大丈夫。
ハウスプロジェクト今月中に詳細をアップ出来そう。

それから応援されてる審査員は、河原町の「きのこ文化祭」に
来年、作家として普通に参加表明しましたー!
Commented by ニクロム先生 at 2012-12-10 20:25 x
『わらじや』に次いで『メフィストフェレス』までも消失してしまううとは....。高知に行ったときには、つい寄り道して観ていた作品だったのに残念です。
Commented by ryuzo3net at 2012-12-10 21:26
ニクロム先生、2つとも見てもらえて嬉しく思ってます。

まだ僕は生きてるので次行きます!

ということでニクロム先生は、そろそろセメント先生に連絡つけてもらえますか~??
Commented by wada at 2012-12-11 19:15 x
諸行無常・・・でしょうか。。。
犬はしっかり守りたいですね。
Commented by ryuzo3net at 2012-12-11 22:44
Wadaさん、常識的なことが全く伝わらないんですよね。話が出来ないというか。企業側の都合しか頭に無いというのは、良く伝わってきたけど。所有権と著作権も分からないから恥ずかしい。地方のレベルの低さというより、モラルの無さですかね。
でも耐震チェック一切してなかったからもう知らんし。

イヌは問題なく現実化するためにさまざまな角度からチェックしてますから!プロジェクトを守るためにも最大数の人的資源で完成させます。
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